☆ 中国側は尖閣問題に関し重要なサインを発している! ☆
(2012年09月17日 00時55分 【毎日新聞】)

駐日中国大使:程永華氏の書面インタビュー全文
毎日新聞 2012年09月17日 00時55分(最終更新 09月17日 01時53分)

中国の程永華駐日大使が16日、毎日新聞の書面インタビューに答えた全文は次の通り。

程永華駐日大使

 −−今年は日中国交正常化40周年ですが、現在、両国関係は厳しい状況に直面し、日本の多くの人が憂慮を表明しています。中国側は両国関係の現状をどのように認識していますか。

 大使 日本政府が「釣魚島購入」を発表した後、中日関係は非常に厳しい情勢に直面している。これは中日両国民の利益に合致せず、中国が目にしたくないもので、事態悪化の責任は中国側にはない。

 今年は中日国交正常化40周年だ。両国にとってのこの40年間の中日友好協力発展の重要な意義を深く感じている。40年前の中日が国交正常化を実現した時、2国間の貿易額は10億ドルにすぎず、人の行き来もわずか1万人だった。40年間の両国政府と各界の関係者の不断の努力で、両国関係は各分野で大きく発展し、これまでにないレベルに達した。

 政治面で、双方は両国が平和、友好、協力関係を発展させる基本原則と精神を確立し、戦略的互恵関係の大方向を明確にした。経済面では、2国間の貿易額が3400億ドル余りに達し、約340倍に増えた。中日は互いに重要な経済・貿易のパートナーとなり、中国は日本にとって最大の輸出市場となっている。

 人文(人と文化)交流の面では、両国の人の行き来が500万人余りに達し、友好省・県と友好都市は250組に上っている。毎日100便近く運航される航空便で約1万8000人が両国の間を行き来している。中日関係の発展は両国に大きな利益をもたらし、両国人民に巨大な実益をもたらし、さらに地域の平和、安定、繁栄を力強く維持し、促している。

 中日国交正常化40周年を迎え、中国側はこの重要な年を両国関係において先人の後を引き継いで今後の道を開く1年にすることをもともと希望していた。中国は日本側と多くの計画を立て、「中日国民交流友好年」のイベントを開催することを決定し、また600近い交流・協力の催しを計画していた。

 人民元と日本円の直接取引の実現は両国の金融協力が実質的に重要な一歩を踏み出したことを示している。両国はまたオープンスカイ(航空自由化)協定に調印し、双方の人の行き来を拡大する条件を整えた。第7回中日省エネ・環境保護フォーラムが成功を収め、双方は47件の協力取り決めに調印した。中日韓3カ国は投資協定に調印し、3カ国の自由貿易協定交渉を年内に始めることを予定している。今年、中日の各分野の交流と協力の成果は少なくないと言うべきだ。

 両国各界が中日の協力がより大きく発展するよう広く期待している時に、日本側は中国側の立場と中国人民の感情を顧みず、釣魚島の主権について係争の客観的事実を無視し、いわゆる「島購入」計画を進め、先ごろ、計画が完了したと宣言し、中日間の深刻な対立を引き起こし、事態の重大なエスカレートを招いた。日本側は現在、中日関係が直面している厳しい局面を認識し、国交正常化と条約締結時の両国の合意と了解に早期に立ち返り、釣魚島問題を適切に処理すべきだ。

 −−日本政府は、「島購入」は平穏かつ安定的に管理し、東京都の島購入を阻止するためで、両国の対立を進んであおるものではないと言っていますが、中国側はなぜ断固反対し、激しく反応するのですか。

 大使 釣魚島問題には特殊な歴史的経緯があり、中国の領土主権にかかわるだけでなく、歴史問題にかかわり、非常に敏感なものである。まさにそのために、中日が国交正常化を実現し、平和友好条約を締結した際、両国の指導者は「そのままにし、今後の解決にまつ」ことで重要な了解と合意に達した。長年にわたり、釣魚島問題は時に突出するものの、全体的に言って、双方は関連の了解と合意に基づいて、問題を大体適切に処理してきた。

 今年4月中旬、東京都の石原慎太郎知事がほかでもなく米国に行って「島購入」を宣言したことで、人々はみな、それが挑発行為であることが分かった。また募金の形をとることで、矛盾を国民レベルにまで拡大し、両国民の対立を故意にあおろうとたくらんだ。

 日本政府はこうしたもめ事を起こす行為に対し、制限せず、逆にその勢いに乗って強硬に「島購入」をし、中日関係を重大に損なった。

 中国の指導者と外交当局は日本側に繰り返し厳正な立場を表明し、石原知事の「島購入」は無論、日本政府の「島購入」も性格は同じで、いずれも中国の領土主権に対する重大な侵害であり、両国指導者のこれまでの合意に反するものであると強調し、中国は日本側が大局から出発し、いかなる形でも「島購入」をやめることを要求した。

 日本側の以上の行動は、中国人民の激しい憤りを引き起こした。中国政府は日本側の中国の領土主権を侵犯する行為に強い反応に出ざるを得なくなった。中国がこのようにするのは、自らの領土主権を守るためであり、また中日関係の大局を守るためでもある。

 −−中国側が言っている国交正常化と条約締結時の両国の合意と了解は具体的に何を指しているのですか。

 大使 釣魚島問題は今に始まったことではなく、中日双方にそれぞれ主張がある。1972年、中日が国交正常化を実現した際、周恩来首相と田中角栄首相は釣魚島問題について「今後の解決にまつ」ことで合意した。1978年、中日が平和友好条約を締結した際、双方は釣魚島問題について「棚上げし、今後の解決にまつ」ことで了解に達した。

 トウ小平氏は当時、「こうした問題はそのままにしておいてかまわない。われわれの世代は知恵が十分でなく、この問題は話がかみ合わない。次の世代はわれわれより聡明(そうめい)だから、みなが受け入れられる良い方法を見つけ、この問題を解決するだろう」とはっきり語った。この合意は中日関係の健全かつ安定した発展の重要な保障と言える。

 当時、両国の前の世代の指導者は高度の戦略的視点と政治的知恵で釣魚島問題を適切に処理しなければ、また国交正常化以降のこの長い期間に双方がこうした精神で釣魚島問題を処理しなければ、中日関係のこの40年間の大きな発展はなかった。

 現在の事態の根本的原因は日本側が釣魚島問題に対する立場を後退させ、釣魚島の係争に面と向かおうとせず、認めようとせず、双方の重要な了解と合意を否定し、あくまでも誤った行動を取ることにある。これは非常に危険だ。

 日本政府のこうした立場は実際のところ、日本国内の一部の者が釣魚島問題を利用して騒ぎを起こし、中日関係を壊すことを奨励し、刺激するものだ。釣魚島問題で「棚上げ」の合意がなくなれば、領土問題のために中日関係は永遠に平穏な日がなくなる恐れがあり、そうなれば、どうして安定や発展を語れるだろうか。

 その意味から言って、釣魚島問題を適切に処理し、危機を有効にコントロールするには、突き詰めれば、国交正常化と平和友好条約調印の時の双方の合意と了解に立ち戻り、領土紛争を交渉で解決する軌道に戻らなければならない。

 −−中国は、釣魚島は中国固有の領土と主張していますが、日本には、釣魚島付近で石油が見つかったことから中国は日本固有の領土を中国のものであると言い、さらには強硬な手段も辞さないのだと考えている人もいます。これについて中国はどのように見ていますか。

 大使 釣魚島およびその付属の島嶼(とうしょ)は古来、中国の神聖な領土で、歴史的証拠も法的根拠もある。釣魚島などの島嶼は中国人が最も早く発見し、命名、利用、管轄したことが大量の文献史料に示されている。

 15世紀以前に中国南東沿海部の商人や漁民は釣魚島などを航海の際の目印とし、以来これらの島嶼とその付近の海域で生産活動を行ってきた。中国の明朝と清朝は釣魚島とその付属の島嶼に対してずっと主権を行使していた。早くも明代の初め、釣魚島とその付属の島嶼は中国の版図に入り、永楽年間(西暦1403〜1424年)に出版された「順風相送」という書物には、中国人が福建から琉球に行く途中に通った釣魚嶼、赤坎嶼(すなわち赤尾嶼)などの島嶼の名称が明確に記載されている。明、清代に琉球王国に出向いた冊封使はその出使録の中で、釣魚島などの島嶼は中国の領土で、これらの島嶼を通った後、琉球の領域に入ったと明確に指摘している。

 日本外務省の「日本外交文書」第18巻、第23巻には、日本政府が釣魚島について「無主地」ではなく、中国に属すと明らかに承知していたことが詳細に記載されている。

 1895年、日本は甲午戦争(日清戦争)末期、清朝政府の敗戦が確定的になったすきに、釣魚島とその付属の島嶼を不法にかすめとった。続いて日本は清朝政府に不平等な「馬関条約」(下関条約)の調印を強要し、「台湾全島およびすべての付属の島嶼」を割譲させた。

 第二次世界大戦終結後、「カイロ宣言」と「ポツダム宣言」に基づき、中国は日本が占領した台湾、澎湖(ほうこ)諸島などの領土を取り戻し、釣魚島は台湾の付属島嶼として国際法上、中国に戻った。

 1951年、日本が米国などの国と一方的な「サンフランシスコ平和条約」に調印し、琉球諸島(現在の沖縄)は米国の管理の下に引き渡された。1953年、米国琉球民政府は管轄範囲を勝手に拡大し、中国の領土である釣魚島とその付属の島嶼をその中に紛れ込ませた。1971年、日米両国は「沖縄返還協定」の中で釣魚島などの島嶼を勝手に「返還区域」に入れた。

 中国政府は日米のこうしたやり方に対し、1950年代から何度も断固反対し、認めないと表明した。日本政府のいわゆる釣魚島は日本固有の領土で、日中間に解決が必要な領土紛争はないという言い方は史実と法理に合致していない。いわゆる釣魚島海域で石油が見つけられて初めて、中国側が領土紛争を主張したという言い方はまったく成り立たないものだ。

 −−日中関係の悪化がすでに経済分野に影響しています。日本の自動車の中国での販売が減り、日本製品の一部ボイコットや、商務省の担当者がそうした行為に理解を示していると報じられています。そのほか両国間のさまざまな交流活動も影響を受け、次々に延期や取り消しになっています。これについて中国はどのように見ていますか。

 大使 中日の協力関係が良好な発展を続けるには、政治、経済、人文など各分野で調和のとれた発展を実現する必要がある。中日経済・貿易協力の深化は良好な政治関係や民意の基盤と切り離せない。現在、両国関係に厳しい局面が表れている直接の原因は日本政府の違法な「島購入」であり、13億の中国人民の激しい憤りを引き起こしている。事態を放っておけば、両国の各分野の交流、協力がさらに大きな打撃をうけることは避けられない。日本側が実際行動をとり、間違ったやり方を直ちに改め、釣魚島問題を適切に処理し、中日関係の改善に確実に努力することを希望する。

 −−日中関係をどのように構築するかを巡って、両国民、特に若者に何か贈る言葉はありますか。

 大使 中日両国の「和すれば共に利し、闘えば共に傷つく」は、2000年来の歴史で繰り返し証明されている道理である。前者は両国人民に非常に大きな利益をもたらし、それぞれの発展を促し、後者は中国に深く重い災難をもたらし、日本人民もその被害を深く受けた。両国の内外情勢が共に推移し、変化する中で、両国民衆、特に若者は歴史を真剣に学び、「歴史を鑑(かがみ)とし、未来に目を向ける」内容を深く理解し、中日関係の平和、友好、協力の大方向を常に堅持し、しっかりつかんでいなければならない。

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