【Iiyama's Proposal】
☆☆ 田園地帯がいきかえる! 田舎の土地がよみがえる! ☆☆彡
市街化調整区域で大化けするビジネス・モデル
☆☆ は じ め に ☆☆   
 法は峻厳である.地図上,一本の線で厳しく区分された市街化調整区域では,
都市計画法により,開発行為は認可されない.
 つまり,新たに建築物を建てたり,増築することができないのである.
 ただし,例外として一定規模までの農林業施設は認められる.
 たとえば,「日常生活上または業務上必要な施設」,店舗,事務所,作業場
などは許容される.
 その他,流通業務施設トラックターミナル,卸売市場,倉庫,荷さばき場,道路
貨物運送業の事務所や,沿道サービスと称される車両の通行上必要な自動車
修理工場,レストランなども含まれる.
 ようするに,農林業の発展に寄与する施設は認可されるのである.
 いま,農林業の発展に寄与し,かつ,市街化調整区域の土地を有効活用する
ビジネス・モデルがあれば,それは巨大なビジネスに大化けする.
 そのためには,いったい,どのような方策があるか?
 その方策を提示することが本稿の目的である.

【方策01】 農林業を発展させる活動    
 再度言うが,市街化調整区域内での開発行為は原則として認可されない.
 しかし,農林業と,農林業の発展に寄与する行為は認められる.
 従って,「農林業を発展させる!」.このことを常に念頭に置くことが大切である.
 その上で,監督官庁が認可しやすい方策を示せば,迅速な認可が得られるので
 ある. (社会貢献とスピード.これがビジネス成功の秘訣である).

【方策02】 夢のある農林業を提案     
 これまでの「儲からない夢のない衰退型農業」ではなく,画期的な「未来型の
農業」を提案する.この提案は具体的であることが肝要である
 たとえば,『キクイモの栽培と加工農業』といった提案である.
 キクイモの主要成分「イヌリン」は,糖尿病の特効薬である.
 キクイモは,有機肥料を大量に吸収するので,乳酸菌で発酵させた生ゴミを
畑に投入することが芋の肥育にとっては効果的である.
 つまり,キクイモは,「生ゴミを処理する農作物」なのだ.
 キクイモ栽培農家は,今後は,「生ゴミ処理」でも利益が出るだろう.
 将来は,大規模な「生ゴミの堆肥化施設」も必要になってくる.
 こうなると,農地は,許可不要の中間処理施設であり,生ゴミという廃棄物を
活用する未来型産業と言ってもいい.
 この生ゴミの堆肥化施設には,発酵促進と悪臭防止用の乳酸菌を培養する
工場も必要である.乳酸菌の培養には必須の大量の塩や糖蜜を保管する倉庫
も必要である.
 事務所や,従業員の休憩所も,もちろん必要になってくる.
 こうして,キクイモという画期的な農作物を栽培することで,市街化調整区域に
は,堆肥化工場や,資材の保管倉庫や,加工工場や,事務所や,従業員休憩所
や,キクイモ製品の即売所や,さらにはレストランも必要となってくるのだ.

【方策03】 まず耕作をはじめる      
 農林業の発展に寄与する施設であっても,最初から大規模な施設の認可は
得られない.
 まずは小さなことから始め,小さな施設についての建設申請をすべきである.
 それには次のような段取りが必要である.
  1.トラクターを購入し,畑を耕す作業をはじめる.
  2.キクイモを栽培する農事法人であることを告知する看板を立てる.
  3.トラクターを収納する車庫と,資材を保管する倉庫の建設を申請する.
 この車庫と倉庫の建設は,「調整区域の大規模活用」の重要な第一歩である.
 
【方策04】 企業共同組合を設立する   
 都市計画法第34条の5に次のような条文がある.
    5.都道府県が国又は独立行政法人中小企業基盤整備機構と一体
      となつて助成する中小企業者の行う他の事業者との連携若しく
      は事業の共同化又は中小企業の集積の活性化に寄与する事業
      の用に供する建築物又は第1種特定工作物の建築又は建設の
      用に供する目的で行う開発行為.
 ようするに,異業種が提携すれば,市街化調整区域内でも結構な規模の開発
行為が認可される.
 すなわち,エコワン社と佐藤農園が事業組合を設立すれば,キクイモの漬物
加工製品を製造する工場の建設も認可されるのである.
 しかも,異業種が提携する企業共同組合には,豊富な補助金が用意されて
いる.真剣に検討すべきであろう.
 
【方策05】 開発チームの現地入り   
 本案の実現にとって,最も大切なのは,管轄官庁の役人の心証である.
 次に重要なのは,現地住民の感情である.
 住民の間に反発感情が芽生えると何事も失敗しやすい.
 開発チームが頻繁に現地入りし,あいさつまわりなど住民から好感情を得る
努力を実行することも重要な第一歩である.
 同時に,現地の管轄官庁の役人に好印象を与えること.これも重要な第二歩
である.

☆☆ お わ り に ☆☆
 本稿は,農業ビジネスによる市街化調整区域の有効活用を考えてきた.
 本稿が提示したビジョンは,農作物の栽培・即売・卸売だけではなく,堆肥化
工場(この実態は中間処理施設)や,乳酸菌培養工場,また資材の保管倉庫や
農作物の集配場までをも含んだ壮大なビジネスである.
 つまり,未来型農業とは,工業(農産物加工,堆肥製造)と,商業(卸売,即売)
を包接した巨大なビジネスなのであり,このビジネスが市街化調整区域で展開
される! ということである.
 また,次のようなビジネス・モデルと組み合わせると,さらに巨大なビジネスが
展開できる.
 1.都会にある倉庫や食品加工工場などを市街化調整区域に移す.
 2.都会の倉庫は,ホテルやオフィス・ビル等の都市型施設に転換する.
 3.以上で,田舎と都会,双方の土地が活性化し,利益は極大化する.
 以上,本稿が示した『キクイモ・ビジネス・モデル』が,いかに爆発的な方策で
あるか! …ご理解いただけると思う.

 (未来型農業の農作物に関して,今回はキクイモについて述べたが,ほかにも
ヤーコンアイスプラント オカヒジキなど有望で魅力的な農作物がある.機会
があったら述べたい.)
(2008/01/08)  飯山 一郎   .

【参考WEB】1.
埼玉県の都市計画
        2.市街化区域・市街化調整区域
        3.企業間連携でパワーアップ『中小企業者のための組合制度』

 

【例 外】
 市街化調整区域は,都市計画法(以下「法」という.)第7条第3項の規定により,
市街化を抑制すべき区域として指定している区域なので,原則として開発行為は
認められない.
 しかし,以下の規定に適合するもののなかで,例外的に認められる場合がある.

 1.法第34条各号に規定されるそれぞれの立地基準に適合する場合
   (法第33条(技術基準)の規定も適用になる.)

   おおよその内容については次のとおりだが,それぞれに該当となるための
 基準があるので,詳細については照会すること.

  第1号 市街化調整区域内に居住する者の日常生活に必要な物品の販売等
       の業務を営む店舗,事業場の建築を目的とした開発行為等
  第2号 市街化調整区域内の鉱物・観光及び水資源の有効利用上必要な建
       築物の建築を目的とした開発行為等
  第3号 温度,湿度,空気等について特別の条件を必要とする政令で定める
       事業の用に供する建築物の建築を目的とした開発行為等
  第4号 市街化調整区域内で生産される農水産物の処理,貯蔵及び加工用施
       設の建築を目的とした開発行為等
  第5号 特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備
         の促進に関する法律の規定にかかる土地において,当該所有権
         移転等促進計画に定める利用目的に従って行う開発行為等
  第6号 都道府県が国等と一体になって助成する中小企業共同化及び集団
       化施設の建築を目的とした開発行為等
  第7号 市街化調整区域で現に存する工場施設と密接な関連を有する事業
       用施設の建築を目的とした開発行為等
  第8号 火薬類等の危険物の貯蔵又は処理施設の建築を目的とした開発行
       為等
  第9号 市街化区域内において建築し,又は建設することが困難又は不適当
       なものとして政令で定める建築物又は第一種工作物の建築又は建設
       のように供する目的で行う開発行為等
  第10号 集落地区計画内の建築物の建築を目的とした開発行為等
  第11号 市条例で指定した土地の区域内で行う建築物の建築を目的とした
         開発行為等
  第12号 市条例で規定したもので,かつ,自己の居住の用に供する専用住
         宅の建築を目的とした開発行為等
  第13号 既存の権利の届出をした者が行う開発行為等
  第14号 市街化を促進するおそれがなく,かつ,市街化区域で行うことが困
        難又は著しく不適当と認められるもので,開発審査会の議を経た
        開発行為等

 2.法第29条各号の規定に基づき許可不要(適用除外)の場合
   許可が不要である旨の証明を受けるための申請が必要となる.
   一例として,次のようなものがあるが,それぞれに該当となるための基準が
   あるので,詳細については照会のこと.
 
  第2号 農林水産業の用に供する政令で定める建築物及びこれらの業務を営
       む者の住居の建築を目的とした開発行為等
  第3号 鉄道施設,図書館,公民館など公益上必要
       な建築物の建築を目的とした開発行為等
  第4号 都市計画事業の施行として行う開発行為等

   また,用途変更や建替などの開発行為を伴わない単なる建築行為であって
 も許可が必要になる.