「魚食大国」日本の危機(上)
日本の街の食堂の看板で最も目に付く漢字が魚から肉へと変わりつつある。焼肉屋が非常に増えているのだ。サラリーマンが最も好むメニューも焼肉が寿司を抜いた。牛肉を中心とした韓国食が日本で人気なのも日本人の食生活が変わった原因の一つだ。最近は「笑笑」「牛角」「白木屋」に代表される大衆食堂では卵の黄身をのせた真っ赤なユッケがおすすめのメニューだ。
日本人は魚をたくさん食べることで知られている。島国である上に明治維新以前の江戸時代には肉食を禁止していたことから魚を良く食べる。世の中で魚を最もたくさん食べるのはクジラの次に日本人だという笑い話もある。
実際に日本はアイスランドに次いで魚の消費量が世界2位(韓国はポルトガルに次いで4位)だ。日本が世界の最長寿国である理由について、10人の学者に聞けば10人全員が魚中心の食生活をその理由の一つとして挙げる。
この日本が米国や豪州のような肉食大国へと変わりつつある。日本政府が昨年発表した「水産白書」によると、2005年の1人当たりの魚の購入量は12.7キロ。肉の購入量(12.6キロ)とほぼ同じ水準だ。1965年には魚が14キロで肉が6キロだったが、40年で魚の消費は減り続け、肉の消費は増え続けた。この調子なら2006年以降は肉類が魚類を逆転するのは確実視されている。特異なのは世界のほとんどの国は所得が増加すると魚を食べるようになるが、日本だけは徐々に魚を食べる量が減っているのだ。過去30年で米国の魚の消費量は1.4倍、欧州は1.3倍、中国はなんと5倍になった。「魚=高級食=健康」という考え方の故に国民にゆとりができると爆発的に増加するのが魚の消費量だ。
日本が逆に進むのはもちろん昔から魚を食べる量が非常に多かったという理由もあるだろう。全国民が一日に3回魚を食べていたのが、1食分が牛肉へと変われば消費量が減少するのは当然だ。では日本人はなぜ魚から肉へと変わって行ったのだろうか。