NO.2

沈殿池の構造と原理
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 『ヘチマジーラ』はポリプロピレン製で水に浮くこと、また繊維網目状構造であるため空隙率が大で、かつ表面積も大きいという特性を有することにより、SS、またアオコ等が理想的な形態で捕捉できる。
 ヘチマジーラで捕捉されたSS分は凝集してブロック化し、沈殿しやすい形態になる。
 槽底付近に設置されたポンプによりSSまじりの非処理水は『ジーラタワー』に圧送される。ジーラタワーの強力な吸着濾過機能によりSS分が除去された処理水は、ヘチマジーラの上面に散水される。これにより、ヘチマジーラに付着したSSは槽底へと沈殿してゆき、目詰り対応のメンテは不要になる。
 ジーラタワーで捕捉されたSSや汚泥はジーラタワー内に棲息する嫌気性菌により 発酵→分解→消滅する。

 生物濾過槽の構造と原理

最終沈殿池の構造と原理

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『ヘチマジーラ』はポリプロピレン繊維で網目状構造なので空隙率が大で、また、表面積も大きいので、SS捕獲・保有能力が大きく、また目詰りしない。この特性を生かして、ヘチマジーラを沈殿槽に設置すると、汚泥やSS、またアオコ等が理想的な形態で収穫できる。
 ヘチマジーラに捕獲・吸着したSSは、凝集してブロック化が促進し、剥離すると沈殿しやすい形態になる。
 槽上部に設置された散水管によりヘチマジーラに付着したSSは洗い流されて槽底に沈殿する。これにより濾材の取り外し洗浄等の厄介なメンテナンスは不要となる。
 槽底に沈殿したSSは返送ポンプにより沈殿池に圧送されて、沈殿池に付設されたジーラタワー内で繁殖する嫌気性菌により 発酵→分解→消滅する。本装置は、以上の工程が自動的に繰返されるメンテナンスフリーのシステムである。
汚泥吸入装置の概要
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 槽底に沈殿した汚泥を吸入しようとすると水だけが吸入されて、汚泥は吸入できない.そこで、左図のような装置を考案した。
 槽底に吸入管を敷設する。吸入管には多数の吸入孔があけられている。これにより周囲の汚泥は緩慢に吸入されるのである。
 なお、吸入管は槽底に埋設したU字溝の内に敷設すると吸入率は倍増する。


ジーラタワー
ジーラタワー
注:本図は参考図である。実際は、処理量に合わせた大きなものを作り、処理工程の最終段階で非処理水をジーラタワーで濾過し、希釈用の返送水として再利用する。


…ジーラ剤の概要…
 ジーラ剤の原料は、杉材です。
 特殊な方法で破砕した杉材のオガのなかの腐敗成分を時間をかけて抜き取りますと、安定したセルロースが残ります。このセルロースは、バクテリアにとって大変に住み心地のよい、すぐれたバイオ材です。
ジーラ剤は、木質細片に物理的処理を施したもので、たいへん大きな表面積(1gあたり約30u)と空隙率(75〜80%)を有しています。
 ジーラ剤の成分はセルローズ・リグニン・ペントザンで構成され、その適度なバランスが汚泥の水切り(個液分離)と温度調整、酸素供給の三つの重要な効果をもたらしています。
 ところで、有機物質の発酵の3大条件は、
@適度な水分(63%前後)
A必要温度
B必要酸素量
です。
 ジーラ剤は、有機物質の発酵→分解→消化をはかるうえで最も効果的な状況を作り出す性質をもっています。
 ところで、一般住宅や産業排水には、固形物質や蛋白質、脂肪質、炭水化物等が含まれています。
 これらの汚泥水の原因となる物質を、ジーラ剤は水と炭酸ガスに変えてしまいます。この秘密は自然界に普通に存在する大量土壌菌(=中間菌)の働きにあります。
 ジーラ剤のなかで大量に繁殖した中間菌は、有機汚泥の発酵→分解→消化をはかり、消滅させてしまいます。ですから、ジーラ剤は汚泥排水処理剤として活用することができます。

---ジーラ剤による廃水処理のしくみ---
 ジーラ剤による排水処理は、個液分離→発酵・分解・消化というプロセスで行われています。
 汚水がジーラ剤のなかを通過するとき、個体と液体の分離が行われ、同時に排水中に含まれる汚濁物質がジーラ剤に吸着されます。
 ジーラ剤によってキャッチされた汚濁物質は、水分が63%前後という条件下で、発酵が開始されます。
 そしてこのとき、大量の極小微生物が発生します。
 この極小微生物は中間菌と呼ばれるもので、従来の排水処理で使われていた好気性菌でも嫌気性菌でもありません。(しいていえば好気-嫌気性菌。通気性菌と呼ぶ学者もいます。)
 この正体は土壌菌に近く、あまりにも極小である(千分の1〜1万分の1ミクロン)ため、顕微鏡でさえ識別が困難です。この中間菌が分解作用菌なのです。
 ジーラ剤は、セルローズ65〜85%、リグニン10〜25%、ペントザン5〜10%からなる炭素質有機濾過剤で、このなかに汚水を通過させると、莫大な数の菌体のコロニー(1センチ立方あたり数百億もの極小桿菌)が発生します。
 この桿菌と球菌が、特有の分解作用を行います。
 まず桿菌は、動植物の遺物、遺体の発酵と分解(腐食)をつかさどり、球菌はその腐食物中のモロモロおよび桿菌を食べ尽くしてガス化をはかります。
 食べ物(腐植物・栄養菌)が無くなったあとも、球菌は死滅せず、一時休眠状態となって次の栄養を待つことになります。
 これが浄水浄化のシステムで、水質汚染の原因となる有機物は全て処理(消化)されてしまいますので、新たな汚泥(残渣)の発生や機械的な目詰まりの心配はありません。
 注(2) ジーラ剤は、年2%程度ですが自然消耗します。

---自然の法則とジーラ剤---
 従来の汚水処理は、活性汚泥法(ばっ気法)が主流でした。
 エアレーションによって汚水中の好気性菌を活性化させるこの方法は、しかし、大きな欠点をもっています。
 それは余剰汚泥=残渣を再生するということであり、結局のところは中間処理にしかならないということです。
 地球上に最大かつ最良の浄化装置は土であるということは、どなたにも異論のないところでしょう。
 そして、このジーラ剤による浄化装置は、まぎれもなく土壌菌の活躍によって機能しています。
 中間菌はこの土壌菌の一部であり、水分63%の状態において最も効果的に有機汚泥を発酵・分解・消化させます。(ジーラ剤には、自らの湿度を自動的に63%に調節する性質があります。)
 ちなみに植物は、土中の有機物や無機物を発酵・分解・消化させる土壌菌のはたらきによって成育しています。ですから土壌菌は植物にとっては成育のための栄養菌でもあるわけです。
 アンモニアから起こる無機栄養菌・有機栄養菌の亜硝酸・硝酸の相互作用による硝化反応、そして硝酸を還元して窒素ガスを発生する反応有機栄養菌・無機栄養菌による脱窒反応等、あるいはリン・カリウム・マグネシウム等も、あらゆる極小微生物の相互作用によって、やがては植物育成への手助けとなります。
 以上、端的にいえば、ジーラ剤は土壌の働きをコンパクトに集約した装置と考えていただいて差し支えありません。
 ジーラ剤は、汚水処理において最も優れた菌体作用の集約場を簡単につくり、しかもメンテナンスフリーで管理が楽です。
 また、二次公害の恐れ、悪臭や人畜への危険も皆無です。

●特記事項: 本システムによる処理水には、大腸菌等の巨大微生物は皆無であるが、電子顕微鏡でも見えないほどの超極小バクテリアが多数存在している。これは、山々に推積した腐葉土をくぐりぬけてきた清澄な谷川の水とほぼ同じ菌体数であると思われる。(谷川の水が美味しいのは大量の超極小バクテリアと、岩石から溶け出した成分=ミネラルがあるからである。)こうした特質をもつ本システムからの流出水には、下流の環境を浄化する働きがある。

●特記事項: 本システム内の各所に点滴される発酵菌液の主菌体は、乳酸菌と光合成菌である。近年、光合成菌の養殖業での活用が注目されている。

対照(配合飲料) 2,772
光合成菌添加** 3.860


表1 魚類(フナの仔魚)の生存率に与える光合成菌添加の効果*
                  1ケ月後        生存率 
               の生存数         (%)  
                  69.3 
                  96.5 

    *実験は2tonの水槽に4,000匹を入れて行った。
    **配合飲料に光合成菌の生菌体0.1%添加
 本システムによる処理水には、乳酸菌、光合成菌が豊富に含まれている。そのため、本システムの処理水を用いることによって稚魚の生存率は大巾に向上するはずである。このことは、ジーラント社の実験施設においては、フナと金魚の孵化率と推魚の生存率において何度も確認されている。
 乳酸菌と光合成菌の混合液は、発病抑制が至難ととさされるビブリオタイプの病原菌にも有用である。

【参考文献】

●須藤隆一.1980.浄化に関与する微生物群,活性汚泥法,思考社
●C.R.Curds.1975.Protozoa In Ecological Aspects of Used-Water Treatmenn.edited by C.R.Curds and H.A.Hawkes,Academic Press.
●小林達治.1993.光合成菌で環境保全,農文協.
●森山 登.1995.分散・凝集の科学,産業図書.
●服部 勉.1978.微生物生態入門,東京大学出版会.
●服部 勉.1978.細胞の表面特性と固体表面への付着,微生物生態入門,東京大学出版会.
●飯山一郎.1998.世界初の『超微粒化バイオとは』,pos-2,汚泥と光合成菌活用法を核とする新事業.Z-Lant Press.
●佐々木 健.1993.光合成細菌の生理と生態,嫌気微生物学,上木勝司,永井史郎編著,養賢堂.
●小林達治.1984.光合成細菌の自然界における役割と利用,光合成細菌,北村博 森田茂廣 山下仁平編,学会出版センター.             

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